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第3話 テスト?

last update Last Updated: 2025-08-21 08:30:29

「え〜っと、それは、答えるべきなのでしょうか?」と聞くと、

「あ、ごめん。もしかして、こういうの慣れてなかった?」と聞かれた。

「?……」

もちろん私は、答える必要がないので、何も答えない。

「もしかして、寧音ちゃんって処女バージンなの? あっぶね〜! いや、俺まだ指1本触れてないからな」と急に両手を挙げて離れて焦り出した。

──何も言ってないわ! だが処女バージンはアウトだ!

「今のはセクハラに当たりますので!」

と言うと、

「あっ、ごめん! もう言わないから、許して! ね?」

と機嫌を取る。

──そうやって、何人もの女を泣かして来たのだろうか?

確かに近づいて来ただけで、触れてはいない。

だからと言って、イケメンと言うだけで、これで目を閉じてしまう女もどうかと思う。

しかも、ココは役員室だ!

それに、この方は、少々変わり者というか、イケメンを利用して性格が曲がっているというか……

ただの女ったらし?

「寧音ちゃんは、純粋ピュアなの? それとも俺のことを相手にしてないの?」と聞いた。

──答えるとしたら、両方かな?

と思ったが、答えてやらない。

黙ってニッコリ微笑んでやった。

すると、何を誤解したのか?

「もしかして、男垂らし? かなりの男を泣かせて来たの?」と言い出した。

──何を言ってるんだこの人は!

想像力豊かな人だな

私は、純粋に『恋に恋して』王子様が来てくれるのを夢見ているような女なのに、男垂らし? は〜? 初めて言われたよ。呆れて物が言えない。

話を変えようと、

「明日のスケジュール確認をしても宜しいでしょうか?」と聞くと、

「え? 今大事な話をしてるのに?」と言った。

──どこが大事な話なんだ?

この人は、バカなのか?

社長! 何が良くて、この方を専務に……

今のところ、専務に引き抜かれた理由が私にはよく分からないです……

すると、私の様子を見て、

······ 合格! おめでとう〜」

とパチパチ拍手をしながら言っている。

──はあ〜? 何が合格? いったい何の事?

しかも今、五十嵐さんと言った?

キョトンとした顔をしていると、

「ごめんね、いきなり寧音ちゃん! だなんて呼んで。·····が秘書で良かった」と、微笑んだ。

──何? どういうことなの? 私は、貴方が専務で、引いてますけど?

「どういう意味でしょうか?」と聞くと、

「俺さあ、秘書次第では、本当に断ろうと思ってたんだよ」とおっしゃる。

「……」

──本当に言ってるの? こんなチャンスを?

専務ですよ?

「以前、三橋(商事)で、最低な秘書が居てね」と言う。

「その女、金ヅルなら誰でも良かったんだろうな、片っ端から上司の女になってた。気持ち悪くて……それを見てたから、俺はこんな会社で役員なんかになりたくない! って思った。ちょうど兄貴がなってくれて良かったけど」

黙って聞いていた。

「そしたらさあ、伯父さんがさあ、ウチに来ないかって……」

──ウチ? 伯父さん?

「あのう、伯父様というのは……?」と聞くと、

「あ、そっか知らないか? この会社の社長は俺の親父のお兄さん! つまり伯父さんなんだ」と言って微笑んだ。

──!! え? 社長が伯父様でしたか……

又、目を大きく見開いてしまった。

「そ、そうでしたか……存じ上げませんでした」

「伯父さん、子どもが居ないんだよ」と言う。

──そうなんだ

「だから、弟の次男の俺に後継者になってくれ! って」

──なるほど、ようやく分かった

長男さんが三橋商事の専務になられたから、社長が次男に四友商事の専務をお願いしたんだな

「だからさあ、秘書がクソみたいな人だったら、絶対無理! って伯父さんに言ったんだ。そしたら、『お前に最高の秘書が居る!』って言われたから」と言った。

──え?

「良かったね、五十嵐さん、··に認められて」と笑っている。

「いえ、滅相もございません」

と言うと、

「良かったよ、俺は五十嵐さんで」とニコッと笑われた。

──これは、褒められた? 喜んで良い所?

「ビッチじゃなくて」と言う。

──あ〜そういうことよね……

貴方と話してると、なんだか凄い言葉が出て来るなあ〜

しかし、秘書で仕事を断わるって……

「あ〜やっぱ現場行きて〜! ちょっと各部署見て来ても良い?」と言う。

「はい! お供致しましょうか?」と言うと、

「うん! 行こう!」

と、そこはやけに素直だ。

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